地方創生の鍵!? GI制度について解説

GI制度(地理的表示保護制度)は、地域の農産物や特産品が持つ本当の価値を守り、未来へとつなげるための制度です。
この記事では、GI制度の基本や商標との違い、具体的な登録例、地方創生との関係までを、実際の取り組みを交えて詳しく紹介します。

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GI制度ってなに?

GI制度とは、地域の魅力ある農産物や特産品を守り、価値を高める制度です。
ここでは、GI制度の基本や商標との違いや、実際に登録されている例などについて見ていきましょう。

GI制度ってどんな制度?

GI制度(地理的表示保護制度)とは、地域の自然環境や伝統的な製法など、その土地ならではの条件で生産される農林水産物や食品の名称を、国が知的財産として保護する制度です。
たとえば、ある産地特有の気候や土壌、長年培われた技術によって生まれた品質や特徴が、ほかの地域の産品と明確に異なる場合、その名称を「地理的表示」として登録できます。
登録されると、その地域で決められた生産方法や品質基準を守っている商品だけが、その名称を使うことが許されるようになります。

つまり、地域の信頼あるブランドを不正利用や模倣から守る制度であり、生産者の意欲向上や地域経済の活性化にもつながるということです。
このような仕組みを通じて、日本各地の特色ある産品が守られ、消費者も類似品と間違えずに購入しやすい環境が整えられています。

商標との違いは?

GI制度とよく比較されるのが「商標制度」です。
商標は、企業や個人が独自のマークやロゴ、商品名を登録して、他者が同じものを勝手に使えないようにする制度です。
これに対し、GI制度は地域全体の名称や産品の特性を守る点が異なっています。
たとえば、「○○ワイン」や「△△茶」のような地名を含む名称は、その地域全体の生産者団体などが一括して登録し、登録要件を満たした産品のみがその名称を使用できます。

一方で、商標は企業ごとに管理され、個人や法人が特定の商品やサービスに使うことが主な目的です。また、商標は全国どこでも使えるのに対し、GIは産地や製法が限定されるという違いも重要です。

このように、GI制度は地域社会の価値や伝統を広く守る制度であり、個別の商品や企業ブランドを守る商標とは目的と対象が異なっています。

登録されている例3選

日本国内で登録されているGI産品は多岐にわたります。ここではその一部を見てみましょう。

たとえば、山形県の「山形ラ・フランス」は、気候や土壌、長年にわたり培われた生産技術が生み出す豊かな香りと滑らかな食感が特徴で、全国的に高い評価を受けています。

また、静岡県の「深蒸し菊川茶」もGI登録例です。温暖な気候と独自の製茶法により、鮮やかな緑色と香り、コクのある味わいが全国の消費者に親しまれています。

さらに、北海道の「夕張メロン」は、その糖度や果肉のきめ細かさ、出荷時の厳格な検査体制などが評価され、高いブランド価値を誇る逸品です。

これらの産品はすべて、地域ならではの特性を活かし、GI制度によって品質や名称がしっかりと保護されています。

なぜ地方創生と関係あるの?

GI制度は、単なる名称の保護にとどまらず、地域社会の発展や地方創生にも関わっています。
ここでは、GI制度が地方創生にどうつながるのか、その仕組みやメリットなどについて紹介します。

地域資源を「価値」に変える

地域ごとに受け継がれてきた農産物や食品には、その土地の風土や伝統が色濃く反映されています。
しかし、従来はこうした「地域資源」が十分に価値として認識されないことも多く、ほかの産地との差別化が難しいという課題がありました。
GI制度の導入により、産地や製法など厳格な基準を満たした産品だけが地域名を名乗れることになったため、地域資源そのものがブランドになり、市場での評価や信頼が向上するようになりました。

また、GI認証の提示によって消費者へ「この地域ならでは」という独自性が分かりやすく伝わり、選ばれやすくなるという効果も発揮されます。
地域が持つ歴史や自然、技術といった無形の資産が、具体的な「価値」として流通や消費に反映され、地方経済の活性化につながるといえるでしょう。

生産者のモチベーションUP+価格の安定化

GI制度によって地域産品のブランド価値が高まると、正規の生産者が正当に評価される仕組みが整います。これにより、「自分たちの仕事が認められている」という自信や誇りが生産者の大きなモチベーションにつながるでしょう。

また、ブランド産品として認知が広がることで、需要が安定し、価格競争に巻き込まれにくくなるのも見逃せないメリットです。実際、GI認証を受けた産品は安定した価格で取引されやすく、生産者の収入も安定する傾向があります。
また、地域全体で品質維持や向上に取り組む意識が高まり、若い世代の就農や地元への定着を後押しする好循環も期待できるでしょう。

 模倣品対策で信頼を守る

市場には本物そっくりの模倣品や、正規の産地で生産されていないにもかかわらず地域名を名乗る商品が流通することがあります。

模倣品は消費者の信頼を損なうだけではなく、正規の生産者にとっても深刻な被害となります。
GI制度は、登録された名称や生産基準を守っていない産品に対して法的な措置を取ることができるため、不正使用や模倣品の流通を防止する効果的な制度です。
消費者は「GIマーク」や「認証ラベル」を手がかりにして本物を判別しやすくなり、生産者もブランド価値を守りながら、誇りを持って生産を続けられます。

このような信頼の積み重ねは、地域全体の評価を向上させ、長期的な経済基盤の安定につなげる土台になるでしょう。

 輸出や観光との連携

GI制度は国内だけでなく、海外でも運用されている制度です。
日本の地理的表示は高品質の証として世界的にも認知されており、GI登録された産品は輸出時に「信頼できる日本ブランド」として注目を集めやすくなります。

また、GI産品を活用した食のイベントが観光資源となり、地域を訪れる人々に魅力を伝える機会が広がることも見逃せないメリットです。
このような輸出や観光との相乗効果によって、地域経済のさらなる発展や国際的な知名度向上が期待できます。

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GI制度を生かしている地域事例

GI制度の活用によって、日本各地の特産品はブランド価値を高め、地域全体の発展につなげられるようになりました。
ここでは、すでに高い評価を得ている具体的な地域事例を3つ紹介します。

十勝川西長いも(北海道)

北海道帯広市や音更町などで栽培される「十勝川西長いも」は、火山灰土壌と昼夜の寒暖差、長いもに適した栽培技術によって生み出される粘りとみずみずしさが特徴です。

GI登録によって、「十勝川西長いも」という名称の利用が認められるのは指定エリア・生産団体のみとな
り、模倣品や他産地産との混同が防がれています。
消費者の信頼性が高まり、贈答品や業務用需要も拡大。登録団体による品質基準の徹底や新規就農者の増加、イベントでのブランドPRも活発です。

松阪牛(三重県)

三重県の「松阪牛」は、長年にわたり国内外で高級和牛の代名詞として親しまれてきましたが、GI登録によって、「松阪牛」と名乗るためには指定生産者・認証された肥育地・厳しい管理基準を満たすことが必須になりました。

これにより、他地域産や基準を満たさない牛肉が「松阪牛」として流通することが抑制され、ブランドの純度と信頼性が保たれるようになっています。
輸出面でもGI認証が高級食材の証明として評価されており、観光客向けの食イベントやPR活動にも一層の強みとして効果を及ぼしています。

氷見稲積梅(富山県)

富山県氷見市の伝統的保存梅「氷見稲積梅」は、海からの風と気候を活かし、太陽に天日干しされた結晶化した梅として知られています。
GI登録の結果、販売価格が安定し、生産者の後継者確保や生産技術の継承が促進されるようになりました。
また、販促イベントにおいても「地元の伝統品」として注目を集めることで、地域全体の認知度向上に寄与しています。

導入や登録はどうしたらいい?

地域の特産品をGI制度で保護したい場合、どのような準備や手続きが必要なのでしょうか。
ここでは、登録までの流れや成功のポイントについて解説します。

登録方法

GI制度の登録には、まず地域の生産者団体や協議会が中心となって「産品の名称」「生産地」「特性」「生産方法」「生産地との結び付き」「生産実績」などを資料や記録でまとめ、ほかの必要書類とともに国(農林水産省)に申請書を提出します。

申請後は審査に入ります。産品の独自性や品質基準が明確かどうか、他産地や一般商品と十分に差別化されているかなどに重点が置かれた審査です。
基準を満たしていれば正式にGI登録され、名称や生産方法が知的財産として保護されるようになります。

地域全体で取り組む価値あり

GI登録は単なる事務手続きではなく、地域全体が力を合わせることが重要です。
生産者同士の連携や、行政・流通関係者・消費者の理解と協力があって初めて、制度のメリットを十分に引き出せるようになるでしょう。


たとえば、生産方法や品質基準を統一するために、定期的な勉強会や情報交換を行ったり、地域ブランドの価値を高めるための広報活動やPR、イベントなども効果を発揮すると考えられます。
GI登録は地域の誇りを守るだけでなく、新たな販路開拓や観光振興など幅広い波及効果をもたらします。
地域の人々が協力して取り組むことで、制度の力を最大限に活用できるでしょう。

地域の個性を守って育てて届けよう!

GI制度は、地域が大切にしてきた個性や伝統、技術を未来につなげる力強さを持つ仕組みです。単なる「名前の保護」にとどまらず、生産者や地域全体の誇り消費者が安心して手に取れる「本物」の価値を守ります。

地方創生やブランド強化、観光振興など、さまざまな分野にも波及するGI制度を通じて、地域の魅力をさらに育て、次の世代や全国・世界の消費者に自信をもって届けていくことができます。地域全体でその価値を見つめ直し、唯一無二の財産を社会に発信していくために、GI制度を積極的に利用しましょう。

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