日常生活で料理をするならよく見かける食品トレーですが、普段はどのように捨てていますか。自治体によってはリサイクルできることもあります。
この記事では食品トレーのリサイクル方法や、リサイクル可能な食品トレーの見分け方などについて詳しく紹介します。
リサイクルできる食品トレーの種類
リサイクルできる食品トレーは発泡スチロールで作られたものになります。肉・魚などでよく使われている白い食品トレーは多くが発泡スチロールで作られており、最近は購入した店舗でリサイクルを受け付けているケースが見られるようになりました。
以前は「色や模様のついた発泡スチロールはリサイクルしにくい」と言われていたため、そのような食品トレーは回収に出さない人もいたかもしれません。実際にはそのようなことはなく、色や模様がついていても発泡スチロール製の食品トレーなら問題なくリサイクルに出せます。
ただ、色や模様のついた食品トレーはリサイクル加工中に染料がペレットを黒くしてしまうため、活用幅が狭いという事実もありました。
しかし2023年にその問題を解決する方法が開発され、今後は実用化が期待されています。いままで以上にリサイクルの幅が広がることになり、回収もますますはかどりそうです。これからは白くても色つきでも積極的にリサイクル回収へ出しましょう。
リサイクルできない食品トレーの種類
次にリサイクルできない食品トレーを見てみましょう。
回収できない食品トレーは「汚れているトレー(納豆が入っていた容器やインスタントラーメンの容器など)」、「透明容器・卵のパック・コンビニ弁当の容器」です。
「汚れているトレーは洗えばよいのでは?」と思うかもしれかせんが、納豆の容器やインスタントラーメンの容器は洗っても汚れが落ちないことが多いことが原因でリサイクルの対象外になっています。
納豆の容器は納豆独特のぬめりやニオイが容器に染み込んでおり、洗っただけでは完全に取り除けません。インスタントラーメンは油分や塩分が容器そのものに染み込んでしまっています。
「念入りに洗えば落ちるかも」と力を入れて洗ったとしても、大量の水を使うことになり、リサイクルの原点であるエコな考え方に合わないものになってしまうでしょう。
リサイクルできる食品トレーの見分け方
リサイクルできる食品トレーは発泡スチロール製が基本ですが、見ただけで「これは発泡スチロールだ」と分かる人はあまりいないのではないでしょうか。
発泡スチロール製の食品トレーの見分け方を押さえておきましょう。
見分ける方法はとても簡単です。
爪楊枝を刺してみて、しっかりと刺されば発泡スチロール製の食品トレーです。
また、折って「パキッ」と音がすればそれも発泡スチロール製の証明になります。大きなトレーのままでは回収に出しにくいため、確認ついでに小さく折ってしまうのもよいかもしれません。
大きなトレーの場合はお湯をかけてみるのもおすすめの方法です。発泡スチロール製の食品トレーは熱湯をかけると変形するためです。ほかの爪楊枝や折ってみることと合わせて確認しやすい方法ではないでしょうか。ただし火傷には十分注意しましょう。
食品トレーの回収場所
リサイクルに出す食品トレーの回収場所はさまざまですが、意外と身近にある人も多いのではないでしょうか。
食品トレーはスーパーマーケットや自治体の公共施設で回収しています。ほとんどは回収ボックスが置かれているため、特別な手続きなどは不要です。買い物に行く道すがらや散歩中などに手軽に入れてみてください。
リサイクルをするときには「前回買った食品トレーを全部リサイクルに出さなきゃ!」と思う必要はありません。リサイクルボックスに締め切りや設置期間の制限などは基本的にないためです。
無理なく持てる分だけ持って行き、少しずつ回収ボックスへ入れれば大丈夫です。大量に買った場合も焦らず、持ち運びに負担がない数を小分けでリサイクルしましょう。
リサイクル時の注意点
食品トレーをリサイクルに出すとき、使ったままの状態で出すのはあまりよいことではありません。回収ボックスに入れる前に以下のことを済ませておきましょう。
1:食品トレーのみの状態にする
購入したときについていた値札や包装用のラップフィルムなど、食品トレー以外のものは外しておきます。ついたままリサイクルへ出すと、リサイクル処理の工程で火災の原因になることもあるためです。
2:水洗いしておく
食品の汚れがついたまま回収ボックスに入れるのはNGです。調理器具を洗うついでに一緒に汚れを落としておきましょう。簡単な水洗いだけでも十分です。
3:乾かしておく
水で濡れたままではカビやニオイの原因になります。軽く拭き取ったり自然乾燥させたりして、乾いた状態で回収ボックスへ入れてください。乾いていたほうが持ち運びにも便利です。
4:回収ボックスへ入れる前に最終確認
その食品トレーが本当に発泡スチロール製かどうか、まだ確認していなかった人は回収ボックスへ入れる前にチェックしてみてください。その場に爪楊枝や熱湯がなくてもパキッと折れれば大丈夫です。
食品トレーのリサイクルによるメリット
使用済み食品トレーを回収し再びトレー等にリサイクルされ、ごみ減量につながっています。食品トレーに限らず、リサイクルを意識して生活することには意義があり、環境への好影響を生み出すでしょう。
リサイクルの意義
リサイクルは持続可能な社会の実現に向けた一環として有益な手段です。限られた資源の有効活用と過剰に排出される廃棄物の削減は地球環境の保護につながり、次世代のために持続可能な生活環境を生み出します。
リサイクルによって新たな原材料を採掘・製造する必要性が最低限になれば、資源の消費を減らせるようになります。たとえばアルミ缶や紙などの再利用は鉱山資源や森林資源の採取を減らすことにつながるでしょう。
廃棄物の量を減らせばごみ処理場や最終埋め立て地の使用を減らし、地域の環境問題や廃棄物処理の負担の軽減が可能です。
新規製品の製造にかかるエネルギーやコストを削減できる点もリサイクルのメリットです。再生された材料を新たな製品に再利用することで、製造に必要なエネルギーやコストを節約できるようになります。たとえばアルミニウムのリサイクルは新しいアルミニウムから製品を製造するよりも97%ものエネルギーが節約できます。
このように、リサイクルには多方面で好影響があります。次世代に住みよい環境を引き継ぐ可能性が高まるリサイクルの推進や実行には大きな意義があるといえるでしょう。
環境への影響
リサイクルは地球の環境にも好影響をもたらします。とくに大きい影響は温室効果ガスの削減や生態系保護への貢献です。
工業や産業の発達により、製造プロセスで発生する温室効果ガスが地球温暖化を進めることが問題視されています。
リサイクルそのものは温室効果ガスを抑制する効果はあまりないと考えられていますが、新規で原材料を採掘したり製品を精製したりするプロセスで使われる化石燃料の燃焼量が減少する一面があります。この事実は温室効果ガスの排出減少につながっており、リサイクルがその一助になることは確かです。
生態系への影響も見逃せません。社会が排出するごみや過剰な資源の採取が生態系をおびやかす環境問題が重要視されている昨今、資源の再利用やごみの排出量の削減によって、森林・海洋などに存在する生態系のバランスへの悪影響が軽減されます。
「食品トレーの話からずいぶん大きな話になっている」と思うかもしれませんが、決して無関係ではありません。手元の食品トレーをリサイクルするという手軽なアクションは地球の自然環境を守ることにつながっています。
ごみサクでの食品トレーの分別方法を検索する
食品トレーの分別は自治体によって扱いが異なるケースがあります。お住まいの自治体でどのように扱うべきか迷っている人は「ごみサク」を使ってみませんか。
「ごみサク」とは?
ごみサクとは年間利用者が300万人を超えるごみの分別辞典サイトです。分別方法が分からないごみがあっても検索ですぐに分かるため、正確で効率的な分別やリサイクルに役立ちます。
自治体(市町村)ごとの分別方法が分かることも大きな特徴です。「引っ越したら分別方法が変わっていた」と戸惑っても、ごみサクで調べればお住まいの自治体での分別方法がすぐに分かります。捨て方だけではなくリユースについても分かるため、幅広い使い方ができることも特徴です。
現在は全国で100以上の自治体がごみサクを導入しており、より分かりやすく効率的な分別を推進しています。
ごみサクの使い方
ごみサクは無料で利用可能です。一日に検索できる件数の制限もありません。分別方法を知りたいと思ったときにスマートフォンやパソコンなどのブラウザから手軽に調べられます。
ごみ収集日の当日に迷っても手近なデバイスからすぐに検索できる手軽さは、気負わずにリサイクルやリユースを意識する助けになるでしょう。
ごみサクの検索方法
ごみサクの検索方法はとても手軽です。
1:自治体(市町村)の名称を入力する
最初に捨て方を知りたい自治体の名称を検索ボックスに入力し、検索ボタンを押し、目的の自治体名を表示します。
2:自治体名をクリックする
表示された自治体名をクリックすると、対応しているごみ分別ページへ遷移します。たとえば「文京区」の場合、文京区のごみ分別・捨て方がごみの種類ごとに検索できるページが表示される仕組みです。
3:検索ボックスに分別方法を知りたいごみの名称を入力する
検索ボックスにごみの名称を入力・検索します。たとえば乾電池を捨てたければ「乾電池」で検索してください。対応した分別・捨て方が表示されます。
同じ品目でも複数の種類があり、分別・捨て方が異なる場合には同時に表示されるため、参考にしやすいシステムです。前述の乾電池は文京区で以下のように分けて表示されます。
”乾電池(筒型の使い捨て一次電池)不燃ごみ
乾電池(ボタン型)区では回収できない”
ごみサク/文京区 ごみ分別辞典より引用(※1)
さらに画面右にはそれぞれの品目で「詳細」が参照できます。捨て方について具体的なアドバイスが記載されているため、そちらも参考にしましょう。
ごみサクは手軽に使えてすぐにごみの分別が分かる便利な分別辞典サイトです。分別や捨て方、リサイクルできるもの、できないものなどに迷ったときにはぜひ利用してください。
(※1)ごみサク/文京区 ごみ分別辞典
https://www.gomisaku.jp/0280/?lang=ja#gomisaku_keyword:%E4%B9%BE%E9%9B%BB%E6%B1%A0