地球環境への注目が集まる昨今、トライする人が増えているコンポスト。自分で作った堆肥で家庭菜園やガーデニングが楽しめるようになりますが、方法や虫対策などが気になります。
この記事では、コンポストの作り方や使い方、虫対策などについて解説します。
コンポストとは?
コンポストとは「堆肥(compost)」または「堆肥を作る容器(composter)」を意味する言葉です。家庭の生ごみや落ち葉などを微生物で発酵・分解し、堆肥化する方法としても知られています。
生ごみから堆肥に変わるメカニズム
コンポストは、生ごみなどを堆肥に変えることによってリサイクルを推進する、自然環境を配慮した方法です。
堆肥化のメカニズムは微生物の働きによって進行します。まず、生ごみなどが入ったコンポスト容器の中で微生物が有機物を分解し始めます。この過程では熱が発生し、その熱が堆肥化を促進させる仕組みです。
生ごみが分解されると細かい有機物の粒子ができあがり、これが堆肥となります。このように作られた堆肥は栄養価が高く、土壌改良に役立つ点は見逃せません。
処分されるはずだった生ごみを堆肥に変えることによってごみの量を減らすだけではなく、リサイクルの一環として環境保護につながるアクションになるのもメリットでしょう。
なお、分解には酸素が必要になるため、適度に空気を取り入れる必要があります。ご自分で堆肥化をおこなう際には、容器を定期的にかき混ぜたり、回転させたりするなどの作業が必要になることもあるでしょう。
コンポストの種類
コンポストにはさまざまな種類があり、それぞれの特徴や使い方があります。
【設置型コンポスト】
庭に穴を掘り、コンポスターの下部を埋めて設置します。生ごみや庭の落ち葉、雑草などを入れ、2~3か月間熟成させて堆肥を作ります。
【密閉型コンポスト】
生ごみのほか、米ぬか・発酵促進剤などを入れて発酵させるタイプですが、生ごみは分解されず、土に移して1か月ほどで分解させる仕組みです。強い臭いが発生するため、使用の際は周辺住民への配慮が必要になるでしょう。
【ダンボールコンポスト】
ダンボールに資材を入れて生ごみを投入し、よくかき混ぜるだけで堆肥が作れるタイプです。庭やベランダにも設置できますが、約2~6か月ごとにダンボールを交換する必要があります。
【LFCコンポスト(バッグ型)】
専用バッグに基材を入れ、生ごみを投入し、かき混ぜて堆肥を作るタイプです。ファスナー付きで虫が入りにくく、個人でも使いやすいコンパクトな設計になっています。
【回転式コンポスト】
生ごみや落ち葉を投入し、容器を回転させることで酸素を供給して堆肥化を進める構造です。
【電動生ごみ処理機】
電力で自動回転させるタイプや、温風で生ごみを乾燥させて堆肥化・炭化させるタイプなどがあります。電気代がかかる点には注意しましょう。
【ミミズコンポスト】
容器にミミズと生ごみを一緒に入れ、ミミズに生ごみを食べさせて分解するタイプです。ただし、ミミズには食べられないものがあるため、入れる生ごみは選別が必要です。
自分・家庭・地域・地球へのメリット
コンポストには多くのメリットがあります。まず、生ごみの処理が楽になり、家庭のキッチンの衛生状態が改善されるでしょう。堆肥を家庭菜園や鉢植えに使用すれば、健康な植物が育ちやすくなります。
また、ごみの量が減るため手間が省けるほか、ごみ出しが有料の地域の方は家計面のコストパフォーマンスがよくなる一面もあるでしょう。
地域社会においては、コンポストが普及すればごみの埋め立て量が減少し、環境負荷の軽減が促進できるでしょう。さらに、地域の農地や公園で堆肥を活用することで、緑化活動も進みます。
地球全体に目を向けると、温室効果ガスの排出削減に貢献できます。生ごみの埋め立によるメタンガス、焼却処分による二酸化炭素などに対し、コンポストは発生量を抑制する効果が期待できるでしょう。
コンポストの使い方
実際にコンポストを使い、堆肥を作る場合には、どのような流れになるのでしょうか。準備するものや手順について見ておきましょう。
準備するもの
最初に、コンポストで使用する道具や材料を準備しましょう。
1:コンポスト容器
まず、コンポスト容器は欠かせません。設置型、回転式、密閉型など、自分の生活スタイルに合ったタイプを選びましょう。
2:専用スコップや虫除けネット、防臭フィルターなど
空気の流通を良くするため、堆肥をかき混ぜる専用スコップも用意しておくと役立ちます。虫除けネットや防臭フィルターもあると便利です。
3:堆肥化させる素材や発光促進剤
当然のことですが、堆肥化させる生ごみや落ち葉なども必要になります。これに加え、米ぬか・発酵促進剤などがあると効率的に堆肥化を促進できるため、一緒に準備しておくとよいでしょう。
堆肥化の手順・期間
堆肥化の手順は比較的シンプルです。まず、コンポスト容器に生ごみを投入します。この際、大きなごみは小さく切っておくと分解速度を上げられるでしょう。
次に、ぬかや発酵促進剤を混ぜて堆肥化を促進します。生ごみと発酵促進剤などは層を重ねるように置くと効果的です。
生ごみなどの投入後は、その日に生ごみを入れた部分だけをスコップでかき混ぜ、酸素を入れるようにしましょう。取り込まれた酸素によって微生物が活発に働き、分解が進みます。
また、湿度も重要です。乾燥しすぎると微生物の活動が鈍ってしまうため、適度な水分量を保つようにしてください。
堆肥化の期間は季節や温度によりますが、通常は約2~3か月で完成します。とくに夏場は温度が高く、微生物の活動が活発なため、寒い季節よりも早く堆肥ができあがるでしょう。
注意点・堆肥化できるごみの種類
コンポストを使用する際の注意点として、まず適切なごみの選別が重要です。堆肥化できるごみは、生ごみや落ち葉、草木の切れ端などです。
肉や魚の骨、油分の多いものは発酵が遅いため、腐敗や害虫発生の原因になってしまう可能性があり、おすすめできません。また、プラスチックや金属の堆肥化は不可能です。
コンポスト内の温度や湿度の適切な管理にも注意しましょう。乾燥しすぎると微生物の活動が鈍り、逆に湿りすぎると悪臭が発生する原因になります。
コンポストを設置する場所も工夫が必要です。直射日光を避け、風通しのよい場所に置くと、空気を通しやすくなるほか、虫の発生を防ぎやすくなります。
夏の虫対策
生ごみ、発酵、堆肥化につきものなのが虫の悩みです。とくに気温や湿度が上がる夏場は虫が発生しやすいため、コンポストをする際には虫対策が欠かせません。
虫の発生予防方法
夏場のコンポストは虫が発生するおそれが高いため、予防の徹底が重要です。
まず、生ごみを投入する際には、小さく切ってから入れることで分解が早まり、虫の発生を抑えやすくなります。コンポスト容器のふたをしっかり閉めることも大切です。
さらに、コンポストの周囲に防虫ネットの設置をしたほうがよいでしょう。防虫ネットで小さな虫の侵入を防げるようになります。
湿度管理も重要で、湿りすぎた状態は虫を引き寄せる原因です。適度な湿度を保つよう心がけましょう。
前述しましたが、コンポストの設置場所の工夫も虫対策に欠かせません。直射日光を避け、風通しの良い場所に置くことで、虫の発生を予防する効果が高まるでしょう。
虫によるトラブル対処法
もしコンポストに虫が発生してしまった場合、可能な限り速やかに対処しましょう。
コンポストの表面を土などで覆い、虫の繁殖を防ぎます。また、コバエがいるのであればコバエ用のトラップを設置すると効果的に駆除できるでしょう。ほかの虫であった場合にも、それぞれの虫に効果的なアイテムを利用して駆除してください。
生ごみの一部が虫の発生源となっているのであれば、原因の生ごみを取り除きましょう。被害がひどい場合には、コンポスト容器全体を洗浄することも検討してみてください。
虫がいない状態でも、たまにしっかり確認してみるのも予防に効果的です。よく見なければ分からない部分に卵が産み付けられていることもあります。
堆肥の効果と活用方法
完成した堆肥はどのように使うとよいのでしょうか。ここでは、対比の効果や活用方法などについて紹介します。
堆肥活用のポイント
まず、堆肥の成熟度を確認しましょう。堆肥が十分に分解されていないと、その堆肥を与えられた植物がうまく栄養を吸収できず、「窒素飢餓」という状態になってしまいます。
堆肥を使用するタイミングにも注意しましょう。植え付けの約2週間前に土に混ぜ込むと、植物が必要とする栄養素を効果的に供給できるようになります。
堆肥の量も重要です。多すぎると栄養が過剰になってしまい、成長に悪影響が出ます。一方、少なすぎても効果が十分に発揮されません。適量を守ることにより、土壌の改良効果を最大限に引き出せるでしょう。
活用方法
堆肥の活用方法は多彩ですが、身近なものでは家庭菜園や花壇への使用が代表的です。土壌の栄養価を高め、健康な植物を育てやすくなります。
その際、栄養があるからといって堆肥だけを使うことはおすすめできません。栄養過多になってしまい、想像通りに育たなくなってしまいます。土とよく混ぜ合わせて使いましょう。
堆肥を上手に活用すれば、化学肥料や農薬を減らしたり、使わなかったりする方法で植物や農作物の育成に挑戦できます。興味のある方はトライしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
コンポストによる堆肥化は、家庭や地域の生ごみを減らし、環境への配慮ができる方法です。完成した堆肥を使ったガーデニングや家庭菜園は、化学肥料や農薬を減らした方法を選びやすくなるため、多くの人のニーズを満たせるでしょう。
しかし、地球の環境を考えると、やはり生ごみを減らすことも大切です。堆肥化に回す生ごみを最小限にするためには、フードロスの削減や生ごみの有料化などが役立つでしょう。
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