避難所生活での5つの困りごと。知っておくべき対策とは

誰でもいつ災害や大きな事故に遭遇するか分かりません。万が一、避難所生活になった場合を想定し、日頃から備えておきましょう。

この記事では、避難所生活でよくある困りごとや悩み、具体的な解決策と日頃から出来る備えなどについて詳しくご紹介します。

近年の災害・避難所の概要

避難を必要とするような大型の災害はいつやってくるか分かりません。災害が起こった場合、規模や被害状況によっては避難所が開設されます。

しかし、多くの人にとって避難所生活は慣れないものです。日常との大きな違いに戸惑ったり、困ったりすることもあるでしょう。避難所に避難するような災害や避難所での暮らしを想定し、普段からしておくべきことは何かを考えておく必要があります。

1.近年の災害について

日本は地震や台風をはじめ、大きな災害に直面することが少なくありません。近年でもそれは変わらず、日本各地で避難所生活を余儀なくされるような大型災害を経験しています。

日本に住んでいる以上、大型災害と無縁ではいられません。起き得る災害について備える必要があります。

非常用持ち出し袋の準備や避難所の確認など、平時から備えられることは決して少なくありません。いざというときに適切な対応ができるよう、災害時の備えや行動についての確認はとても大切です。

2.避難所はどういった施設か

災害で避難する状況になったとき、行き先は2種類考えられます。「避難場所」と「避難所」です。似た言葉ですが、この2つには大きな違いがあります。

避難場所とは、災害そのものから身を守るため、一時的に逃げ込む場所にあたります。たとえば大規模な火災の際、火炎や煙から身を守るために向かう広い公園や河川敷のような大きな場所が該当します。

一方、避難所は学校や公民館などが該当し、災害で自宅生活が困難になった人々が避難生活をするために設けられる場所です。期間は数日のこともあれば、災害規模や復興進度によっては数週間、数カ月になる可能性もあります。

避難所生活での困りごとと解決策5つ

当然のことですが、避難所生活は今までの生活と大きな変化が起こります。実際に避難所生活をしてみた人たちのなかでは、その違いから困ったことや悩みが生じることが少なくありません。代表的な5つの悩みと解決策について見てみましょう。

1. 食事に関する困りごとと解決策

災害のニュースを報道するメディアでよく見られる光景に、避難所での食事に関するものがあります。それほど食事は大切な課題です。しかし、避難所では平時のように誰もが満足できる食事はすぐに用意できないことが実状であることも確かです。

日常で当たり前のように食べている温かい食事も、避難所ではすぐに用意することが非常に難しいものにあたります。つらい目に遭いながら避難所へたどり着き、せめて温かいものを…と思っても、口にするまでに時間がかかってしまいます。

その点、温かいものが提供される炊き出しは嬉しいものでしょう。かといって何も問題がないわけではありません。使える食材が限られ、栄養バランスやアレルギーなど、生命に関わる問題が生じる可能性も考えられます。

小さな子どもの場合は好き嫌いでどうしても食べられない料理もあるでしょう。ミルクが必要な乳幼児がいれば、ミルクが手配できるかどうかの心配もあります。

解決できる方法として、平時から避難所にある程度の食料や水、粉ミルクなどを備蓄しておくことが挙げられます。個人であれば非常用持ち出し袋に一定量の非常食を入れておくと役立つでしょう。アレルギー対応食や粉ミルクなども、必要であれば必ず入れておきましょう。

2. 生活用品の調達に関する困りごとと解決策

生活用品や家電に関する悩みも生まれがちです。着の身着のままで災害から逃れ、避難所で生活することになっても、着替えがないため不衛生な環境になってしまう人もいます。衣類を持って避難しても数が足りなかったり、ときには季節に合わないものがあったり困ってしまうでしょう。

また、水害の避難で濡れたままの服を着続けるしかなく、生命に関わる低体温症を引き起こしたという人もいます。災害関連死にも直結する重大な一面です。非常用持ち出し袋に最低限の衣類を入れることはもちろん、避難所でも備蓄できれば理想的でしょう。

女性は生理用品の悩みも問題のひとつです。女性の心理として、避難所で気軽に「生理用品がほしい」と言い出しにくいこともあります。昨今の災害では避難所生活における生理用品の必要性も見直され、支援や啓発が進むようになりましたが、個人では非常用持ち出し袋に入れる、自治体では避難所の備蓄を増やすなどの取り組みが望ましいでしょう。

スマートフォンの充電に関する悩みも少なくありません。災害に関する情報を知るためにはスマートフォンが便利ですが、充電ができなければ使えなくなってしまいます。しかし、避難所には十分な数のコンセント(電源)がないこともあります。可能であれば避難時にはポータブル電源を持ち出せるとよいでしょう。

3. 衛生面での困りごとと解決策

多くの場合、避難所生活では衛生面の問題を抱えることになります。水が不足したり、トイレの数が限られていたりするためです。

とくに避難所生活経験者の多くががトイレに不満を感じていました。株式会社ネオマーケティングが2019年12月に実施した「避難所での宿泊経験者500人に聞く「災害時の避難所に関する調査」によると、回答者のうち297人、じつに59.4%もの人が避難所のトイレで悩みを感じたとのことです。※1

具体的には「数が足りない」「清潔でない(衛生面が悪い)」がとくに多く、避難所でのトイレに関する問題が深刻であり、人々に悩みを抱かせることが分かります。

衛生面ではほかにも風呂、衣服に関する悩みも少なくありません。水不足で入浴や衣服の洗濯が難しくなります。衛生面の悪化は避けられません。

不衛生な環境は高齢者や小さな子どもだけではなく、避難所生活で疲れた人々すべてにとって悪影響が生じるものです。不衛生なトイレは感染症の原因になり、入浴や洗濯の機会がないことは肌に悪影響を与えることもあるでしょう。

解決策としてはポータブルトイレや衣服の備蓄が考えられます。避難所への備蓄はもちろん、個人でも非常用持ち出し袋に加えるなどの工夫がおすすめです。

4. 疲労やストレスに関する困りごとと解決策 /(例)心のケア、プライバシー、孤独

避難所生活では被災したショックにより不安がつきまといます。人によって被災の状況は違うとはいえ、大きな喪失感や環境の変化へのストレスを感じ、心のケアが必要になるかもしれません。

しかし、避難所ではすぐにケアが受けられるとは限りません。心のケアは今後の生活の立て直しを目指すためにも必要なものです。被災者同士での経験の共有や医療機関、ボランティアの人々を頼るなど、自分の心を大切にできる方法を選びましょう。

また、避難所生活は多くの人が同じ空間で過ごすことになります。その分、日常生活では当たり前だったプライバシーの確保が難しくなります。最近は個別スペースが確保できるようなミニテントなどが配布されるケースが多くなっています。自分でも息抜きできる場所を見つけ、1人になりたいと思ったときに足を運べると気分転換になります。

避難所生活は孤独を感じさせることもあります。慣れない環境のなか、寂しさや孤独感がつきまとう可能性があるので、ほかの人との交流や気分転換など、寂しさや孤独感をコントロールできる方法を取り入れましょう。

5. コミュニケーションの困りごとと解決策

避難所生活が長くなるにつれて、人間関係に問題を感じることがあるかもしれません。同じ被災経験を共有する人々と険悪な関係にならないよう、できるだけ前向きな方法を取り入れる必要があります。

たとえば、被災者でもできるボランティアはあります。簡単なことでもできることがあれば参加してみましょう。SNSやネットで楽しい情報を得て気を紛らわせたり、趣味や特技を活かしたりするのも効果的です。

それでも限界を感じたら少し距離を取り、自分の心が落ち着くまで待つという方法もあります。お互いに適切な距離感でコミュニケーションを取り、同じ被災体験を持つ同士として協力しながら避難所生活を乗り越えたいものです。

災害への備えつ

避難所生活になる理由のほとんどは災害による被災です。災害時の準備がどれくらいできているかによって、避難所での生活が変わるかもしれません。平時から可能な範囲で備えておくことをおすすめします。

1. 災害のために備えておくもの

避難所へ行く、行かないにかかわらず、平時から災害へ備えておくことはいざというときに必ず役立ちます。自宅で使う分、避難所へ行く際に持ち出す分に分け、非常用の備蓄を心がけましょう。

1:飲料水…1日3リットル(1人分)×3日分×人数分
2:食料(加工食品、レトルト、非常食など)…1日5食(1人分)×3日分×人数分
3:カセットコンロ
4:非常用バッテリー、懐中電灯など電源や明かりを確保できるもの
5:救急用品、衛生用品、生理用品
6:現金(小銭を多めに2万円ほど)

2. 避難所への適切な持ち物

緊急時、避難所へ大量のものを持って行くことは難しい状況になります。非常用持ち出し袋を作り、万が一のときには素早く行動してください。

1:飲料水…500mlのペットボトル×2本
2:食料品…簡単に食べられるもの。缶詰やレトルトが重い場合は無理をしない
3:救急用品、衛生用品、生理用品
4:ヘルメット、ヘッドランプ、防災頭巾など
5:携帯電話や携帯ラジオ、バッテリー
6:タオルや防寒用アルミシート
7:衣類
8:(乳幼児がいるご家庭)哺乳瓶、ミルク、紙おむつ
9:常備薬、お薬手帳
10:現金(小銭を多めに2万円ほど)

ご家庭や個人の事情によってはほかにも必須のものがあるかもしれません。そのような場合には忘れずに持って行きましょう。

また、高齢者や子どもが持つには重いと感じられる場合、安全を確保するものを優先に用意して軽量化すると動きやすくなります。

3. メンタル的な準備

普段と大きく環境が変わるため、避難所生活では大なり小なりのストレスが生じがちです。自分を守るためにも、心のケアに役立つものを用意しておきましょう。

1:洗い流さなくても使えるクレンジングシート
2:清浄綿
3:ドライシャンプー
4:虫除け
5:耳栓
6:好きな香りのハンドクリームなど
7:子どものおもちゃ

ほかにも、持ち運びがしやすく、自分に必要だと思うものは備蓄しておきましょう。ただし避難所で使う場合、周囲の人に迷惑がかからないものがおすすめです。

※1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000003149.html

 

関連コラム

  1. 地方公共団体とは?基本知識を簡単解説!

  2. ごみ有料化をすれば不法投棄は増える!?対策と事例をご紹介

  3. 10月は食品ロス削減月間!自治体の取り組み5選を紹介

  1. 桑名市 市民環境部 環境対策課

    【桑名市】食ロス問題の周知から解決への対策を検討

  2. 【橿原市】外国語版アプリの翻訳対応や市ホームページとの連携シス…

  3. 姫路市協力店インタビュー SUN.1 外観

    口コミを聞いた知人からの勧めで利用開始【兵庫県姫路市 タベスケ協…

  4. リターナブルの容器シェアリング事業

    【北九州市】リターナブルの容器シェアリング事業

  5. 江東区 清掃リサイクル課

    【江東区】外国の方々や若年層、単身世帯への周知方法が課題だった

製品資料、自治体様向けの調査資料・アンケート結果のダウンロードはこちらから

資料ダウンロード

製品に関するお問い合わせはこちら

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ西日本エリア:06-6210-6666
東日本エリア:03-3663-8745