自治体サービスのDX化が求められる中、「粗大ごみ受付」のデジタル対応は住民の利便性に直結する重要なテーマです。「多くの自治体でWeb予約が進んでいる」と思われがちですが、実際の状況はどうなっているのでしょうか?
今回、全国の自治体を対象に「粗大ごみ受付予約の実態調査」を実施しました。このコラムでは、調査結果のハイライトとして、収集方法ごとの「予約受付方法」の全国平均データ等をご紹介します。
調査方法・注意事項
- 【調査目的】全国の自治体を対象に、粗大ごみ受付状況の集計を行いました。これにより今後の自治体運営やサービス改善に役立てることを目的としています。
- 【調査対象】1741自治体の市区町村
- 【調査方法】公開しているホームページ内で記載されている粗大ごみの受付方法を集計
- 【調査期間】2025年6月1日~2025年8月20日
※本資料の掲載情報は株式会社G-Placeが独自に調査したものであり、正確性、妥当性、適時性もしくは完全性について保証をするものではありません。
予約制は「ほぼ半々」? 実は自治体規模で全く違う導入実態
調査対象の全1,741自治体のうち予約不要で粗大ごみを受け付けている自治体は846件(全体の48.6%)でした。
一方、事前予約を必要とする自治体は895件(全体の51.4%)にのぼり、わずかではあるものの、予約制を導入している自治体の方が多数を占めているという結果になりました。

注目すべきは、この「ほぼ半々」という拮抗した数字です。 これは、自治体の判断が大きく二分されている現状を示していると言えそうです。
予約制を導入する側には「収集業務の効率化」を重視する狙いがある一方、予約不要の側には「住民サービスの利便性」を優先する判断や、そもそも「粗大ごみの排出量が少なく、予約制を導入するまでの必要がない」といった、自治体ごとの事情が背景にあると考えられます。
そして、この「自治体ごとの事情」は、「人口規模別」のデータを見ると、より明確になります。
人口規模別に粗大ごみ収集の予約状況を分析したところ、下記のグラフの通り、人口が多い自治体ほど予約制を導入している傾向が分かりました。
人口10万人以上の自治体では、87%が予約を受け付けていますが、人口1万人未満の自治体では、69.1%が予約を受け付けておらず、予約受付している自治体は30.9%に留まりました。

先ほどの仮説通り、人口規模が小さい自治体ほど「予約制は不要」と判断している傾向が、明確に表れています。

予約の内訳:「戸別収集」と「搬入収集」、どちらが主流?
次に、予約制を導入している自治体(895件)の内訳を見てみます。
予約が必要な収集方法を比較してみると、戸別収集のみ予約する方法が664件と最も一般的であることが分かりました。
搬入予約に関しては、予約を必要とする自治体は少なく、予約なしで搬入できる自治体が多いことが考えられます。

戸別収集は、一度に収集できる件数に上限があるため、収集枠を管理する必要があり、予約制を導入している自治体が多いと考えられます。
【戸別収集】「電話とWEB併用」が増加!?全国の受付方法
戸別収集の予約受付をしている自治体のうち受付方法について見てみると、「電話のみ」での受付が487件と全体の約6割を占めています。一方で、「電話+Web予約」を併用する自治体は255件にのぼり、電話による受付が依然として主流ではあるものの、多くの自治体でWeb予約も導入されていることが分かります。

「Web受付」が普及する一方で「電話受付」も依然として高い割合を占めている(または両方を併用する自治体が多い)のは、「利便性の追求」と「誰一人取り残さない配慮」を両立させようとする行政の姿勢の表れです。
24時間365日、好きな時に予約できるWebの利便性を導入しつつも、PCやスマートフォン操作に不慣れな住民を「取り残さない」ための電話窓口も維持する。このハイブリッドな対応こそが、全住民へのサービス提供を使命とする行政ならではの施策と言えるでしょう。
【搬入収集】まだまだ電話が主流!?全国の受付方法
粗大ごみの搬入予約を受け付けている自治体の受付方法を調査したところ、最も多かったのは「電話のみ」で、119件と全体の約7割を占めており、電話での予約が主流であることが分かりました。

この「電話のみが7割」という結果からは、戸別収集の対応が優先されている実態がうかがえます。
住民にとっては「Webで24時間予約できない」という不便さが残り、職員にとっては電話対応の負担が続く、という二重の課題が残されている状況と言えそうです。
まとめ
コラムでは、以下の実態をご紹介しました。
- 「予約制の導入率」は、人口規模によって全く異なること
- 「受付方法」の全国調査によると、戸別収集では「電話受付」に加えて「電話+Web予約」を併用する自治体も多くなっており、搬入収集では電話が7割を占めること
レポートでは、コラムで提示した「全国平均」のデータを、より詳細な「自治体タイプ(規模)別」「都道府県別」で集計し、具体的な実態に迫ります。
1. 【戸別収集】規模別データで分かること
- 人口が多い都市部ほど、戸別収集の「Web化」は進んでいるのか?
- 人口が少ない町村部では、やはり「電話主流」のままなのか?
ここでは、各自治体が「住民の利便性」と「業務効率化」のバランスをどう取っているのか、その実態を明らかにします。
2.【搬入収集】規模別データで分かること
コラムでは「搬入収集は電話のみが7割」という、DX化の遅れが明らかになりました。
- 「DX化の遅れ」は、都市部でも起きている問題なのか?
- それとも、比較的小規模な自治体でまだまだ電話予約が主流なのか?
ここでは、自治体の「現場のDX化」に対する本気度が問われる、搬入予約の規模別データを分析します。
3.【都道府県別】データで分かること
最後に、これらの「予約率」や「受付方法」の傾向が、地域によってどう異なるのかを見ていきます。Web化が顕著に進んでいる「先進県」はどこか?ご自身の自治体が含まれる地域の「立ち位置」はどうなっているのか?近隣自治体との比較や、全国的なベンチマークとしてご活用ください。
全国平均だけでは見えてこない、貴自治体の「現在地」を把握するために、ぜひ詳細レポートをダウンロードしてご活用ください。
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