食べ残しが資源に!飼料やエネルギーになる食品残渣とは

昨今、資源の使用と廃棄を最小限に抑え、資源の循環利用を最大限に高める「循環型社会」が注目を集めています。

ここでは、食品の循環を考えるにあたり、「食品残渣」について解説します。

目次

食品残渣とは

食品残渣とは具体的に何を指すのでしょうか。定義や種類、発生理由などについて詳しく紹介します。

食品残渣の定義・種類や発生理由

食品残渣とは、食品の製造、加工、流通、消費の過程で生じる食べられない部分や、廃棄された食品由来のごみを指しています。

食物残渣例として、野菜の皮や芯、果物の種、魚の骨、調理中に出る切れ端や、賞味期限切れの食品などがあります。

食品残渣が発生する主な理由は、加工過程で出る不使用部分や在庫管理の不適切さによる期限切れ、食べ残しなどが挙げられます。

食品残渣の発生量は膨大であり、国全体の「食品廃棄物等※」は2500万トンにも及びます。

※食品廃棄物…廃棄される食品の中で、まだ食べられる食べ物と、食品加工の段階で出る肉や魚の骨などのもともと食べられない部分を合わせて「食品廃棄物」という。食品残渣のみの量は明記されていない
(出典:農林水産省「食品ロスの現状を知る」
(出典:環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成30年度)の公表について」

この膨大な量の食品残渣は、適切に処理されなければ環境に重大な影響を及ぼす可能性があります。たとえば埋め立てによる土地の消費や、焼却による大気汚染などの問題は有名です。

毎日の生活のなかでも発生する食品残渣は決して他人事ではありません。少しでも量を減らせるよう、効果的なリサイクルと再利用が求められています。

食品リサイクル法によって定められている目標値

日本では食品リサイクル法に基づき、食品廃棄物の再利用を促進し、廃棄量を削減するための目標値が設定されています。具体的には、食品関連事業者に対して食品廃棄物の発生量の削減と再利用率の向上を求める内容です。

大規模な食品メーカーやスーパー、レストランチェーンなど各業種に対しては、一定の再利用率の達成を促しており、平成31年度には業種ごとに以下の目標値が設定されました。

食品製造業:95%
食品卸売業:70%
食品小売業:55%
外食産業:50%

この流れにより、食品関連事業者は自社の廃棄物処理プロセスを見直し、効率的なリサイクルシステムの構築に努める必要が出てきています。また、行政も事業者へのサポートを行い、リサイクルの推進を図るようになりました。

このように、食品リサイクル法は食品廃棄物の削減と再利用を促進するための重要な枠組みとなっています。

食品リサイクルの優先順位

食品リサイクル法では、食品廃棄物の処理に関する優先順位が定められています。環境負荷の低減と資源の有効利用を図ることが目的です。処理優先順位について見てみましょう。

発生抑制

最も優先される項目は、「食品廃棄物の発生抑制」です。食材の適切な管理や調理方法の工夫、消費者への啓発活動などを通して実現していく必要があります。
食材のロスを減らすために、店舗や家庭での在庫管理を徹底し、必要な分だけを購入することも大きな貢献になるでしょう。
また、食品の保存方法や調理方法についての便情報を知ることも大事です。食品を無駄なく利用することで、食品ロスをはじめ、食品残渣問題の解決に役立ちます。

再使用

2つめに優先される項目は「食品廃棄物の再使用」です。まだ食べられる食品を福祉施設やフードバンクに提供するなどの活動が該当します。
このような取り組みにより、廃棄されるはずだった食品が有効活用され、社会的にも意義があります。

再生利用

3つめに優先される項目は「食品廃棄物の再生利用」です。再生利用には以下の方法があります。

①飼料化
食品廃棄物を家畜の飼料として再利用する方法です。廃棄物が資源として活用され、家畜の飼料コストも削減されるメリットが生まれます。
たとえば製パン業界では、製造過程で発生するパンの切れ端などを乾燥させて飼料に加工するなどの方法が取り入れられています。食品廃棄物の減少に寄与するだけではなく、家畜飼育においても経済的なメリットをもたらしている実例です。

②肥料化(メタン化の消化液の肥料利用を含む)
食品廃棄物を肥料として再利用する方法です。特に、メタン発酵によって得られる消化液は肥料として有効利用されています。
メタン発酵は、食品廃棄物を発酵させてメタンガスを生成し、その過程で発生する消化液を農業用肥料として活用する技術です。この方法により、食品廃棄物が農業において再利用され、循環型社会における循環型農業の一種として機能できるようになります。

③メタン化等の飼料化・肥料化以外の再生利用
メタン発酵などを通してエネルギーを生成し、その副産物を肥料や飼料以外の形で再利用する方法です。主な方法として熱回収と適正処分が挙げられます。

熱回収

上記で述べた①飼料化②肥料化は、場合によって難しいことがあります。その際、特定の条件を満たして食品循環資源を熱の生成に利用することを熱回収といいます。

〈特定の条件〉
1:75kmの範囲内に特定の肥料・飼料を生成する施設を持たない業者
2:廃食油(または類するもの)で、1kgあたり35MJ以上の発熱量、かつ1トンあたりの利用で28,000MJ以上であること
3:1トンあたりの利用で160MK以上であること

このような条件に該当する場合は熱回収として認められ、より多くの食品循環が可能になります。

適正処分

手を尽くしても再生利用ができない場合には、廃棄物処理法に従った方法で適正処分が求められます。
食品廃棄物は水分を多く含むため、適正処分の方法としては脱水・乾燥・発酵・炭化などの方法で量を減らし、処分することが望ましいとされています。

食品残渣リサイクルの課題とは?

食品残渣リサイクルは各業種の努力によって推進されつつありますが、課題が残されていることも確かです。特に次の4つの課題については積極的に取り組む必要があります。

環境への影響

食品残渣の不適切な処理は環境に重大な影響を及ぼします。廃棄物の焼却や埋め立ては、温室効果ガスの排出や土壌汚染、水質汚染の原因です。

このような環境負荷を低減するためには、適切なリサイクルと処理が不可欠です。特に、食品残渣のメタン発酵による温室効果ガス排出は地球温暖化に直結する問題です。これを抑制するための技術開発と実践が求めらています。

資源の浪費

食品残渣の発生は貴重な資源の浪費を意味します。食料生産には多くの水やエネルギーなど貴重な資源が使用されており、食品残渣によって無駄になることは避けなければいけません。適切なリサイクルによって、限りある資源を有効利用することが求められます。

たとえば、食料生産で重要な農業では多くの水やエネルギーを必要とします。効率的な利用、エネルギー消費の削減を促進することにより、持続可能な農業が実現するでしょう。

食品ロス削減の必要性

食品残渣の問題は食品ロスの問題とも密接に関連しています。食品ロスはまだ食べられる状態の食品が捨てられることで発生します。食品ロスが削減されることで、食品残渣となりうる食品が減ることになります。

また、食品ロスの削減は食料の安定供給や貧困問題の解決にも寄与するため、重要な課題です。

特に、発展途上国における食料不足の問題と、先進国における過剰な食品廃棄の問題は、グローバル視点での取り組みが必要とされています。

食品残渣の経済的損失

食品残渣の処理には、多大なコストがかかります。廃棄物の処理費用だけでなく、リサイクルのための設備投資や運搬費用も考慮しなくてはいけません。

このような経済的損失を最小限に抑えるためには、効率的なリサイクルシステムの構築が必要です。関係企業はコスト削減と環境保護を両立させるための戦略を立て、持続可能なビジネスモデルを構築する必要があるでしょう。

循環型社会の実現に向けて

循環型社会の実現に向けて、企業や行政、そして個人の立場からできる方法は多々あります。

企業の責任

企業は、廃棄物の発生を最小限に抑える努力をするとともに、リサイクルのための技術開発や投資を積極的におこなう必要があります。また、持続可能なビジネスモデルの構築を目指し、社会全体の環境負荷の低減への貢献も重要です。

行政の役割

食品リサイクルの推進に向けた法整備や支援策は行政にしかできないことです。リサイクル施設の整備支援や、企業や市民への啓発活動を通して、食品廃棄物の適切な処理と再利用の促進、効果の評価やそれに伴う政策の見直しが求められます。

個人でできる食品ロス削減の取り組み紹介(まとめ)

個人でも、食品ロス削減に向けた取り組みができます。計画的な食材購入や適切な保存方法の実践、食べ残しを減らすための工夫などは、毎日の生活で取り組みやすいでしょう。
また、家庭でのコンポスト利用や、地域のフードシェアリング活動への参加も有効です。
食品残渣の問題は規模が大きく、個人で何かをすることは難しいと感じるかもしれません。しかし、小さなアクションでも積み重ねなければ大きな結果をもたらします。できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。

(参考)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y031-14/900418426.pdf P3
https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-27/6972/

 

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