日本に居住する外国籍の方が増えている時代です。外国の方に正しいごみの出し方をしてもらうためには、どうすればよいのでしょうか。今回は他国のごみのルールについてや、外国人へのごみ分別周知方法をどのように工夫しているか、ご紹介します。
外国の方が知らなくて困ったルールとは?
出入国在留管理庁が発表した 「令和5年6月末現在における在留外国人数について」 によると、令和5年6月末の在留外国人数は322万3,858人(前年末比14万8,645人、4.8%増加)で、過去最高を更新しています。そして、株式会社YOLO JAPANが2019年11月に発表した、72ヵ国513名が回答した 「日本のルールやマナーに関するアンケート調査」 によると、「日本でのルールやマナーを知らなくて困ったことはありますか?」という問いに「ある」と回答した人は60%、そのうち41%が「ごみの捨て方」と回答しています。海外によってももちろんごみの出し方は異なりますが、日本国内でも自治体によってごみの種類や袋、出し方など多くのルールがあります。ごみ出しを正しく理解してもらうには工夫が必要です。
海外でのごみ分別の事例を紹介
海外ではどのような分別がおこなわれているのでしょうか。アメリカ、スウェーデン、中国、韓国、ベトナム、ボリビアの6か国について見てみましょう。
アメリカ
アメリカのごみ分別は州や都市によってルールが異なりますが、多くの地域でリサイクルごみ・一般ごみ・オーガニックごみの三種類に分けて収集しています。
リサイクルごみには紙、プラスチック、金属、ガラスが含まれ、一般ごみにはそれ以外の廃棄物が含まれます。オーガニックごみは庭木の落ち葉や剪定した枝などです。
アメリカではごみ分別に関する教育プログラムが多くの学校やコミュニティで実施されていますが、うまく機能していないといわれています。今後もごみ分別の重要性の啓発が続けられることにより、改善が望まれるでしょう。
なお、前述の通りアメリカは州や都市ごとに分別ルールが異なっていますので地域のごみ分別ガイドラインを確認することが必要です。
また、ごみ処理手数料の観点から見ると、アメリカは住民が総費用を負担するのに対し、日本はごみ処理手数料を負担するのは約2~3割で「一部有料化」となっています。しかし、減量効果は日本の方が大きいといわれています。興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
スウェーデン
スウェーデンは、リサイクル率が非常に高い国の一つです。スウェーデンでは、家庭から出るごみを細かく分別し、その数は紙、プラスチック、金属、ガラス、有害ごみ、有機ごみなど六種類にものぼります。
この細かい分別により、リサイクル資源の再利用が促進され、ごみの埋め立て処分が減少するという実績があり、世界のなかでもトップクラスの循環型社会を形成しているといえるでしょう。
さらに、スウェーデンではごみの分別が義務付けられているという事実も実績を後押ししています。分別の種類は100種類以上にもおよび、家庭ごみの99%がリサイクルに回されているという事実にも驚かされます。国民一人一人の意識の高さがうかがえます。
中国
中国ではごみ分別の取り組みが急速に進んでいます。都市部ではリサイクルごみ、可燃ごみ、食品ごみ、有害ごみの四種類に分けた収集が推進されるようになりました。
特に上海では住民に対する分別教育が行われ、リサイクル率の向上を目指しています。ごみ分別の取り組みが進むことで、環境保護意識の向上と、リサイクル資源の効率的な利用が期待されています。
また、中国政府はごみ分別の徹底を推進するために各地で分別キャンペーンを実施し、啓発に努めるようになりました。
韓国
韓国のごみ分別は厳格におこなわれています。家庭から出るごみは一般ごみ、食品ごみ、リサイクルごみ、有害ごみの四種類に分けられ、食品ごみは特別な袋に入れて出さなくてはいけません。また、リサイクルごみはさらに細かく分別されます。
リサイクル率の高さは世界でもトップクラスという声もあり、国民一人一人の意識の高さがうかがえるのではないでしょうか。
政府と市民が一体となって環境保護に取り組む気風があることや、ごみ分別の違反者には厳しい罰則が科せられることもリサイクル率を推進する理由になっているでしょう。
ベトナム
ベトナムではごみ分別の取り組みが少しずつ進んでいます。都市部では一般ごみとリサイクルごみに分けて収集さされており、それぞれの分類は細かく設定されています。
リサイクルごみには紙、プラスチック、金属、ガラス、一般ごみにはそれ以外の廃棄物が含まれます。
政府は市民に対して分別教育を行い、リサイクル意識の向上を図る方針を採っており、今後さらに分別の細分化が進むことが期待されています。分別収集のインフラ整備促進もあり、これからますますリサイクル率が高まることでしょう。
ボリビア
南アメリカ大国のほぼ中央部に位置し、アンデス高地やサバンナなど、多彩な自然環境が魅力のボリビアではどうでしょうか。
法律ではごみの分別をしないといけない決まりがあるのですが、現状分別している市町村はごくわずかとなっています。
日本では各自治体ごとに決まりが異なるごみ収集ルールを持っていますが、ボリビアでは国で分別方法が統一されていて、「色」で種類を分ける仕組みになっています。
ただ、まだ分別の意識は高まっておらず、ひとまとめで収集しているところも多いのが現状です。
分別している地域や市場のごみの集積所では、ごみの種類ごとに色で分けられたごみ箱にその場で持ち込んだごみを分別して捨てています。家庭ごみの場合は、日本のようなビニール製のごみ袋ではなく、使いまわしのできる袋を利用していることも特徴的です。
外国の方が知らなくて困ったルールとは?
海外では、国や地域ごとにごみの分別方法が異なります。 それと同様に、日本国内でも自治体ごとにごみ分別のルールが異なっています。ごみ分別は日本人にとっても理解しづらい場合がありますが、外国人にとってはさらに難しい課題です。では、どのようにすれば外国人でも理解しやすいごみ分別が可能になるのでしょうか?いくつかの自治体の取り組みを紹介し、効果的なごみ分別の方法を探ってみたいと思います。
【東京都練馬区】外国語版ごみ分別アプリを配信
東京都練馬区では日本語だけでなく英語・中国語・韓国語の外国語版の「練馬区資源・ごみ分別アプリ」を配信。収集日カレンダーやアラート機能でごみの収集日や収集予定のごみ種別を前日と当日にアラートでお知らせをしたり、ごみ分別辞典、ごみの出し方の確認、よくある質問等、アプリをダウンロードしていただければ、練馬区のごみに関することが分かるようになっています。
練馬区以外にも奈良県橿原市や香川県丸亀市でも外国版のごみ分別アプリを配信しており、それ以外にも多くの自治体が外国語版のごみ分別アプリを活用しています。
【熊本県熊本市】やさしい日本語ごみ分別アプリを配信
日常会話などの日本語よりも簡単で、外国人の方にも分かりやすく記載されている「やさしい日本語」は、法務省が発表している「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」でもあるように、多言語で翻訳・通訳するほかに、「やさしい日本語」を広く活用することが期待されています。外国人が希望する情報発信言語として76%が「やさしい日本語」と回答しており、受け手の外国人からも高いニーズがあることがわかります。
熊本県熊本市では日本語や外国語版のごみ分別アプリの他に「やさしい日本語」での表示を行い、外国人へのごみ分別に関する周知を工夫しています。
上記以外にも外国人のためにわかりやすく動画を作成してたりチラシを配ったりとさまざまな工夫をしています。
ごみ分別アプリ「ごみスケ」を使って正しい分別周知をしよう!
「ごみスケ」はごみ分別支援アプリです。自治体が導入・運用することにより、ごみ収集日程を地域住民に知らせるカレンダー機能や、ごみ分別に関する情報提供機能が手軽に利用できるようになります。
ごみ分別に関する最新情報や注意事項も把握できるため、正しい分別方法を学ぶ機会としても最適です。
ごみ分別アプリの導入や外国語版に興味がある方はお気軽にお問合せください。
【お問合せ先】
株式会社G-Place
E-mail:kssp@g-place.co.jp