北九州市八幡東地区
▶実証実験の概要 ▶モニターの方向けFAQ ▶プラスチックごみ問題とは
当社では環境省の令和3年度環境保全研究費補助金「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」に、株式会社エックス都市研究所(以下、「エックス都市研究所」)と共同申請した『使い捨て製品の削減に資するリターナブルのカップ又は弁当容器のシェアリング事業』が採択されたことを受け、北九州市八幡東区東田地区を対象地区としたリターナブル容器の利用に関する実証実験をエックス都市研究所と共同で実施します。
1,実証実験の概要
実施期間:令和4年1月12日~令和4年2月4日
実施場所:北九州テレコムセンター1号館2号館前ロータリー
実 施:東田廃プラ削減実行委員会
事務局:株式会社G-Place
株式会社エックス都市研究所
協 力:北九州キッチンカー実行委員会
NPO法人わくわーく
北九州市
実施場所の提供:日鉄興和不動産株式会社
・実証実験の目的
本事業では、使い捨てプラスチック使用からの脱却に貢献するために、事業採算性調査、システムのツールであるICTサービス(アプリ)の構築、実証試験等を通じ、異なる店舗間で利用可能なリターナブルカップ又は弁当容器のシェアリングシステムの構築を目指します。
・実施サイト
北九州市東田地区のオフィスビルであるテレコムセンタービルを対象に実施します。北九州市は数々の先進的取り組みが評価されアジアで唯一OECDのSDGs推進モデル都市に選定されており、その中でも東田地区はコジェネ事業、スマートコミュニティ創造事業、水素タウン事業等の様々な実証事業に挑戦するなど持続可能な街づくりを実施してきた中心的エリアです。
また、この八幡東区東田地区は、官営八幡製鉄所操業開始以来、日本産業革命の発祥の地として産業をけん引してきた地区でもあり、産業革命以降の歴史の上に新しい未来を目指すスタート地点としても意味のある場所です。 さらに、現在当該地区のスペースワールド跡地の再開発が計画されており、今後集客力が高まることが予測され、本取り組みの受容性、普及啓発効果、社会実装への発展性が高いと考えられることから最適なエリアだと判断しました。
・実施内容
北九州テレコムセンターロータリーに出店するキッチンカーで提供されるランチを対象に、リターナブル容器の実証を行います。実証実験に協力してくださる利用者にモニターとして登録していただいたうえで、リターナブル容器を利用してもらい、用意した返却ボックスに返却してもらいます。返却された容器は社会福祉施設「わくわーく」にて洗浄を行い、再びランチ提供に利用します。なお、本実証で利用する容器はランチ提供者、洗浄実施者の意見をもとに選定しました。
実証に加え利用者や関係者から、リターナブル容器の受容性に関する情報の収集も行います。また、容器の流通を管理するスマートフォンアプリの構築を目指し、本実証実験中にアプリ要件の検討を行います。これら一連の調査を通して、ランチ提供者、利用者における事業受容性、回収・洗浄などリバースロジスティクスの実現可能性の検証、ランチ容器、回収ボックス、アプリなど必要なツールの要件に関する知見の収集を行います。
2,モニターの方向けFAQ
Q.全てのキッチンカーで利用できますか?
A.ご利用可能なキッチンカーは下記の5店舗です。店頭に「2Rマーク」を掲示しています。
・アジアンキッチン クーカム、ピッツェリア カントナータ、deli kitchen sea-sun’s、月乃たこ焼き、Poco cafe
←2Rマーク
Q.どのように利用すればよいですか
A.ご注文の際にモニタ参加のご案内メールに添付している「2Rマーク」を提示してください。
←2Rマーク
Q.容器はどのように洗浄しますか
A.「容器回収・洗浄・再使用等の衛生管理マニュアル」にもとづきNPO法人わくわーくで適切に洗浄されます。
衛生管理マニュアルは、北九州市保健福祉局保健所の指導のもとで作成しております。
Q.実証実験場所はどこですか
A.北九州テレコムセンター2号館ロータリーのキッチンカー出店場所です。
Q.実証実験はいつ行いますか
A.2022年1月12日~2月4日までのうち水曜日と金曜日を予定しています。
Q.返却できる日はいつですか。
A.実証実験実施日と同じ日です。
Q.どこに返却すればよいですか?
A.北九州テレコムセンター1号館、2号館の各階給湯室の回収ボックスにご返却ください。
テレコムセンター以外にお勤めの方は実証実験実施日にキッチンカーにご返却ください。
Q.容器を返却ができる時間を教えて下さい
A.実証実験実施日の11:00~16:00に回収ボックスを設置しますので、その間にご返却ください。
Q.容器の最終返却期限を教えてください
A.実証実験最終日の2022年2月4日の16:00までにご返却ください。ただし、衛生上の観点からご利用の当日もしくは翌日のご返却にご協力をお願い致します。
Q.返却時に容器を洗う必要はありますか?
A.容器を洗う必要はありませんが、カトラリーや食べ残しなどを取り除いて、容器のみをご返却いただけますようご協力をお願い致します。
Q.登録したメールアドレスはどのように使用されますか?
A.本実証実験にかかわるご連絡のみに使用し、実証実験終了後は適切に破棄致します。
Q.問い合わせ先をおしえてください。
A.下記メールアドレスまでお問い合わせください。
plastic2r@g-place.co.jp ※個人名や電話番号の記載は不要です。
Q.容器に汚れや傷がついたり、変形、破損した場合はどうすればいいですか?
A.破損した場合した場合は、下記メールアドレスまでご連絡いただき、そのままご返却ください。
plastic2r@g-place.co.jp ※個人名や電話番号の記載は不要です。
Q.容器を紛失した場合はどうすればいいですか?
A.下記メールアドレスまでご連絡ください。費用をご負担いただく事はありません。
plastic2r@g-place.co.jp ※個人名や電話番号の記載は不要です。
Q.容器は購入できますか?
A.現在は容器の購入はできません。
Q.モニター終了後にはどうすればよいですか?
A.実証実験終了後にアンケートの依頼をメールで送付させていただきます。アンケートをご回答いただいた方に「特典引換証」を送付させていただきます。
Q.容器の最終返却期限を教えてください
A.実証実験最終日の2022年2月4日の16:00までにご返却ください。ただし、衛生上の観点からご利用の当日もしくは翌日のご返却にご協力をお願い致します。
Q.特典はどのように受け取ればよいですか?
A.2022年2月中旬に九州テレコムセンター2号館1Fに引き換え窓口を設置します。窓口で「特典引換証」をご提示いただいた方にエコバックを進呈させていただきます。
Q.「2Rマーク」は他者(友達・同僚)と共有してもよいですか?
A.ご登録いただいた方のみご利用ください。
Q.実証実験で提供される容器はどのようなものですか?
A.ステンレス製の本体に竹製の蓋がついています。大きさは幅18.5cm 奥行13.5cm 高さ5.5cmです。
Q.容器の取り扱い上の注意点はありますか?
A.完全密閉する容器ではありませんので傾けると液体がこぼれる可能性があります。またのステンレスの本体、竹製の蓋ともに電子レンジを利用できません。オーブン、直火でもご利用いただけません。
Q.提供容器以外に普段提供されるランチとの違いはありますか?
A.容器が異なるだけで、食べ物の内容(味付、量)には違いがありません。
Q.参加費用はかかりますか?
A.参加は無料です。
3,プラスチックごみ問題とは
本事業の背景には、世界的に重要課題ととらえらえているプラスチックごみ問題があります。現在、世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トンであり、さらに毎年少なくとも800万トン、重量にしてジェット機5万機相当のプラごみが新たに流入していると推定されています。また、今のままプラスチック生産量が増加した場合、2050年には海洋プラごみの量が魚の量を上回るという予測もあります。
こうしたプラスチックごみによる海洋生態系への影響が問題視されています。さらにプラスチックはごみはやがて小さな粒子「マイクロプラスチック」になり、数百年間以上自然界に残ります。これらが海洋生態系に取り込まれ循環し、人間の食べ物にも含まれている可能性が指摘されています。
一方、プラスチックは石油を原料として作られるものであり、このまま生産拡大が続くと、2050年には消費する原油の20%がプラスチック生産に使用されるとする予測もあり、深刻化する地球温暖化への影響も大きな問題となっています。
・実はプラスチック排出大国日本
日本はプラスチックの生産量で世界第3位、1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量については世界第2位と、この問題に国際的な責任を持たなければならない立場にあります。
さらに日本では廃プラの約80%が有効利用されているとされていますが、実は有効利用のうち約60%は燃やして熱回収する「サーマルリサイクル」です。これは化石燃料を燃やしCO2を排出していることであり、深刻化する地球温暖化を考慮すると早急な対策が必要です。
なお、日本国内のプラスチック排出量は約900万トンであり、このうち容器包装の排出量は430万トンです。容器包装の内訳をみると、PETボトルの排出量は60万トンなので残り370万トンはパック・カップ・弁当容器、商品の包装、レジ袋ということになります。こうしたことからテイクアウト容器や包装に対する対策が求められています。
・世界、日本は変わり始めています
このような容器包装プラスチックに対する課題認識を背景に、世界も日本も対策に動き出しており、各国相次いで規制を強化しています。
・EUでは2021年7月~使い捨て容器類(SUP)の上市禁止。
・独・仏では2023年からリユース可能な食器による提供義務化。
日本でも来年4月からプラスチック資源循環促進法が導入されます。使い捨てのプラスチック製品の使用をリユース可能なものに置き換えることや、材質の見直し、廃プラスチックの削減が求められています。
・次に注目の「リターナブル容器」とは?
これらの政府による規制と、脱プラを求める世論に後押しされ、様々な取り組みが生まれています。近年では素材の見直しも注目され、温暖化対策としてバイオマス由来のプラスチックが、海洋汚染対策として生分解性のプラスチックが採用され始めています。また、マイボトル・マイ箸は日本でも広く認知されていますが、これに続き2021年日本初となる量り売り専門のスーパーがオープンするなど、そもそも容器や包装が発生しない取り組みが動き出しています。この流れの中で世界的に注目されているのが「リターナブル容器」です。
これは、カフェやレストランでテイクアウトを利用するとき、使い捨ての容器ではなく、再利用可能な容器で食事が提供されるサービスです。利用者は食べ終わった容器を店舗や返却ボックスに返却するだけでよく、利便性の高さとごみ削減の効果が注目されています。ごみを出さないライフスタイルがトレンド化する中、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、世界中でいくつものサービスが立ち上がり、多くの人々から支持されています。
・事例1)RECUP/REBOWL@ドイツ
ドイツ全土の9600店舗以上で採用されている。登録店検索などの機能をもった専用アプリも公開されている。カップは1000回繰り返し使用可能で使い捨て容器の削減に貢献している。
・事例2)Muuse@シンガポール、香港、ジャカルタ、サンフランシスコ、トロント
おしゃれなステンレス容器で提供。5都市でサービス展開している。
利用時はスマホで容器のQRを読み込むことで容器をレンタルし、利用後は返却ボックスに返すことができる。
出典:muuse公式Instagram https://www.instagram.com/muuse.io/
・実はすでに存在してる?日本では古くて新しいリターナブル容器シェアリング
日本では「リターナブル容器のシェアリングサービス」はまだ普及しておりませんが、実はそれに近い文化が以前から存在しています。最近ではあまり見かけない《玄関先に店屋物※の容器を置いて返却する》という光景。この店屋物の仕組みは現代で言うところのリターナブル容器のシェアリングだと言えます。店屋物を頼んだとき、食べ物は店舗で使用されているものと同じ器で届くため利用客は食後に容器を洗浄、それを店舗が回収できるように玄関先に置いておく文化が、昭和~平成初期のころまでは多く見られました。
令和の現在でもそのサービスは残っていますが、今はほとんどが利便性の高い使い捨て容器に置き換わっています。今改めて以前からあった文化の良さを再評価しつつ、店舗ごとではなく一括で管理することで利便性と導入負荷の低減を追求し、新しい循環型社会の仕組み構築をめざすのが本事業の目的です。